Electric Trikeの速度設定

こんにちは。

路面の雪もかなり消え、ホイホイと走り出したい少年のココロを年度末納期という鋼鉄の鎖で縛り付けられ、一日のうち20時間くらいをイスの上で過ごすおっさんです。

お外に出られない無いからと行ってトライクの事を忘れているかといえばそんなはずも無く、触れない分かえって妄想力に磨きがかかる今日この頃“電気”というパワーソースと“乗り物”としての要求仕様について考えてみました。

対象とする乗り物が、1tもあるような自動車クラスであれば、多くの問題は“車重と馬力”をもって考察しますが、乗っかる人間合わせても100kg以下の自転車をターゲットとする場合、最大の障壁は空気抵抗です。

一説には、30km/hで走る自転車の走行抵抗の実に80%が空気抵抗だそうで、これはつまり、もしも空気抵抗がゼロに出来たら、大抵の人が簡単に出せる、30km/h分漕ぐだけで150km/hに到達(加速に因る増加要素無視)してしまうというくらい重要なお話なんですね。

ロードバイクに乗ったことの無い方だと「んなアホな」と思われるかも知れませんが、自転車乗りが普段着ているサイクリング・ジャージ、あれをスキン・スーツと呼ばれるタイムアタック用の全身タイツっぽいウェアに変えるだけで、巡航速度が2〜3km/hは上がってしまう(※おっさん調べ)くらいクリティカルな要素なのでございます。

なので自転車にタマゴ型のボディーを被せるだけで、おっさんのような老体でも簡単に5〜60km/hを人力だけで出せてしまうわけですね。
その分野の乗り物はベロモービルと呼ばれ、自転車大好きな欧州の人々の間では、新車の軽自動車くらいの価格帯でビジネスが成立しているほど。
自転車の『時速100何十キロで世界記録更新!』とかいうのはみんなこのベロモービルのお話です。

そこで『電動自転車の速度とエネルギー消費』に関するあちこちのサイトの掲載内容を平たく均して、おっさんが使ってる36v/10Ahのバッテリー一本に置き換えたのが左のグラフ。

おっさん要件の50kmの通勤路を10Ah一本でとなると、自ずから巡航速度は28km/hを想定する事になるわけです。

300Wモーターで30km/hなら、人力で300Wプラスしてやれば(※スポーツ自転車を漕ぐ際の平均的な出力は250W)5〜60km/hいけるんじゃね?
とか思ってしまうわけですが、実際は35km/hが関の山、40km/hを実現するにも1kW必要になってしまいます。

そこで自転車分野でよく言われる「速度が倍になったら空気抵抗は8倍」(※一般分野では速度の2乗)を、青の曲線でいい加減に描き足してみると、何やら相関関係が見えてきますねぇ。

おっさんのリカトラは、各社のフラッグシップ・モデルとツーリング・モデルの中間くらいのシート傾斜。

この悪路で巡航30km/hくらいで楽々走行できているのは、リカンベント・スタイルによって前面投影面積がロードバイクより小さくなっているおかげですね。

とかくフル電動分野では“最高速重視”な方向にベクトルが向いている感ありですが、冷静にグラフを見直すと、時速10キロなら10Ahバッテリー2本(※電気代40円)で秋田から東京までの500kmが走破できてしまうという驚きの事実。

まぁ10km/hだと50時間かかるので現実的では無いですが、コントローラーで150W制限かけて時速20キロだと25時間でバッテリー5本(※電気代100えん)、そこに軽〜く人力で150W上乗せてやれば時速30キロ。
そこそこ楽しく走れる感じ。

缶コーヒー1本で東京まで17時間の珍道中。
隠居老体の娯楽としては悪く無いですよね?

最近話題の電気自動車の痛い話とか色々書きたかったけど、あんまサボってるとクライアントに鋼鉄の鎖でムチ打ちの刑に処されるので今日はここまでっす。